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関節リウマチとは

関節リウマチとはどのような疾患か

関節リウマチ

関節リウマチは、免疫の働きの異常によって関節の中にある滑膜に炎症が起こり、痛みや腫れ、朝のこわばりを引き起こす疾患です。

進行すると軟骨や骨が傷み、関節の変形や動かしにくさにつながることがあります。

かつては「治りにくく、だんだん悪くなる」という印象が強い疾患でしたが、現在は治療が大きく進歩しており、早期から適切な治療(寛解の達成)を行うことで、症状をしっかり抑え、変形を防ぐことができる時代になっています。

関節リウマチでよくみられるのは、手指や手首、足などの小さな関節の症状ですが、肘肩、足首、膝などにも起こります。

とくに、朝起きたときに手がこわばって動かしにくい、関節がパンパンに腫れて熱っぽい、左右で似たような場所が痛む、といった症状は関節リウマチを疑うきっかけになります。

ただし、初期には症状がはっきりしなかったり、片側だけであったり、痛みが出たり引いたりすることもあるため、残念ながら見逃されている(一度の診察で診断確定に至らない)こともあります。当院では受診時に身体所見や症状が揃わなくても、疑わしい方には経過観察のための定期通院をお勧めしております。

関節リウマチが起こる仕組み、免疫の異常

関節リウマチでは、本来は細菌やウイルスから体を守るはずの免疫が、自分自身の関節を異物のように認識して攻撃してしまいます。 その結果、関節の滑膜に慢性的な炎症が起こり、滑膜が厚く腫れ、関節液が増え、痛みや腫れ、熱感が生じます。

炎症が長く続くと、滑膜は単に腫れるだけでなく、周囲の軟骨や骨を壊すように広がっていき、これが関節破壊や変形の原因になります。 この背景には、体質的な要因に加えて、喫煙、歯周病など、さまざまな環境因子が関わると考えられています。

また、免疫の働きに関わるT細胞、B細胞などの各種白血球が活性化し、TNFα、IL-6、IL-1などの炎症性物質(サイトカインなど)が多くつくられることで、炎症が持続しやすくなります。

さらに多くの関節リウマチの方で検出される抗CCP抗体やリウマチ因子(RF)といった自己抗体は、発症のかなり前から体内で産生され始めていることが報告されています。 このように不要な炎症が惹起され、それが収束せずに長期的に継続してしまうことがわかっております。自動車で例えると、アクセルとブレーキの両方に不具合があるということになります。

関節リウマチでみられる主な症状

関節リウマチの初期症状として多いのが、朝のこわばりです。 起床時に手指がこわばって動かしにくく、しばらくすると少し楽になるという症状は、関節リウマチを疑う大切な手がかりになります。

また、関節の腫れ、押すと痛い、動かすと痛い、手が握りにくい、歩くと足の指や足首が痛いなど、日常生活に関わる症状が少しずつ増えていくことがあります。 関節以外にも、だるさ、微熱、体重減少などの全身症状がみられることがあります。

さらに、進行すると、関節の変形や機能低下だけでなく、肺や血管にも合併症がみられることがあります。 そのため、単なる「関節痛」と軽く考えず、全身の炎症性疾患として捉えることが重要です。

血液検査で調べること

関節リウマチの診断では、血液検査が重要な手がかりになります。 自己抗体の検査として代表的なのが、抗CCP抗体とリウマチ因子(RF)です。

抗CCP抗体は関節リウマチに比較的特異性が高く、陽性であれば関節リウマチを強く疑う手がかりになります。 また、抗CCP抗体陽性の方では、関節破壊が進みやすい傾向があるとされ、病状の経過の見通しを考えるうえでも参考になります。

一方でRFは関節リウマチで陽性になることが多い検査ですが、他の疾患や加齢でも陽性になることがあるため、単独で確定診断はできません。 また、炎症の強さをみる検査としてCRPがあります。

CRPは体の中でどのくらい炎症が起きているかを反映する検査で、疾患の活動性の評価にも役立ちます。 貧血の有無、肝機能、腎機能、感染症の確認なども大切で、これは関節リウマチそのものの評価だけでなく、治療薬を安全に使うためにも必要です。

当院では、血液検査の数値を単に並べるのではなく、それぞれが何を意味するのかをわかりやすくご説明しながら診療を進めます。

画像検査で調べること

画像検査では、関節の炎症がどの程度あるか、すでに関節破壊が起きていないかを確認します。 レントゲン検査は、関節の隙間の変化や骨びらんと呼ばれる骨の傷み、変形の有無をみるために行います。

初期には異常がわかりにくいこともありますが、経過をみるうえで重要な基本検査です。 関節エコーは、近年の関節リウマチ診療でとても重要な検査です。 エコーでは、レントゲンでは捉えられない早期の滑膜病変や関節液の増加、血流の増加、腱鞘炎などを確認しやすく、早期診断や治療効果の判定に役立ちます。

見た目には腫れがはっきりしない関節でも、内部の異常を捕捉できることが大きな特徴です。 必要に応じてMRI検査を受けていただくこともあります。 MRIは、レントゲンでわからないようなより早期の骨びらんを検出でき、滑膜や腱などの軟部組織の異常をみることができます。

また、エコーでは見られない骨の中の炎症(骨髄浮腫)までを詳しく評価することができるため、詳しい評価が必要な場合に有用です。 このように、画像検査は単に「関節形がこわさ壊れてしまったか」をみるだけでなく、今どのくらい炎症が起きているか、今後の進行リスクがどの程度あるかを考えるうえでも大切です。

関節リウマチの診断について

関節リウマチの診断では、症状、診察所見、血液検査、画像検査を総合して判断します。 その際に参考にされる代表的な基準が、2010年のACR/EULAR関節リウマチ分類基準です。 この基準は、とくに早期の関節リウマチを見つけやすくするために作られたもので、一定の条件を満たしたうえで点数化して評価します。

罹患関節(腫脹または疼痛のある関節数)

大関節(足・膝・肘・肩・股関節) 1ヵ所以下 0点
大関節(足・膝・肘・肩・股関節) 2~10ヵ所 1点
小関節(手および足の指、手首) 1~3ヵ所 2点
小関節(手および足の指、手首) 4~10ヵ所 3点
11関節以上(少なくても1つ以上の小関節を含む) 11ヵ所以上 5点

血清学的検査(分類には1回以上の検査結果が必要)

リウマトイド因子(RF)、抗CCP抗体がどちらも陰性 0点
上記のどちらかが陽性で、基準値の3倍以下 2点
上記のどちらかが陽性で、基準値の3倍より大きい 3点

急性炎症反応(分類には1回以上の検査結果が必要)

炎症を示すCRP値とESR(赤沈)値がともに正常 0点
炎症を示すCRP値またはESR(赤沈)値が異常 1点

症状の持続

6週間未満 0点
6週間以上 1点

※関節リウマチ新分類基準(ACR/EULAR2010)より

以上の検査の結果、トータルで6点以上の場合、関節リウマチと診断されます。

ただし、この基準はあくまで分類基準であり、診断を機械的に決めるものではありません。 点数が基準に届かなくても、早期関節リウマチとして治療を考えるべき場合がありますし、逆に点数が高くても別の疾患を除外しなければならないことがあります。 そのため、この基準を参考にしつつも、専門医が症状の経過や画像所見を含めて総合的に判断することが大切になります。

早期診断・早期治療が大切な理由

関節リウマチは、単に関節が痛くなる疾患ではなく、進行すると関節の変形が起こり元に戻すことができない疾患ですが、早期に治療を行うと、より高率に関節変形を防ぐことが可能であると明らかになっています。 また、関節だけの疾患ではなく、全身に影響を及ぼすことがあります。

だるさ、微熱といった全身症状が出ることもあれば、肺、眼、血管などに合併症がみられることもあります。 そのため、単に痛み止めを使うだけではなく、疾患そのものを抑える治療が重要です。 「年齢のせい」「使いすぎ」「更年期だから」と思って我慢しているうちに、関節の炎症が続いてしまうことがあります。

長く続く痛みや腫れ、朝のこわばりがある方は、早めのリウマチ専門医の受診をおすすめします。