糖尿病の治療(食事療法と運動療法)とインスリン
糖尿病治療の基本について
糖尿病とうまく付き合っていくうえで、なるべく薬に頼らず食事療法や運動療法を取り入れるのはとても素晴らしいことだと思います。 たとえ薬が必要な場合でも、この二つは治療の土台にもなりますので、欠くことのできない存在です。
血糖値だけを見て薬で下げるのではなく、毎日の暮らしの中で血糖が上がりにくい体づくりをしていくことが、合併症予防のためにとても大切です。 当院では、糖尿病専門医が、患者さまの生活背景に合わせながら、無理なく続けられる治療を一緒に考えていきます。
食事療法で大切なこと
食事療法といっても、極端に食べないことではありません。 大切なのは、適切なエネルギー量を守りながら、栄養バランスのよい食事を続けることです。 1型糖尿病・2型糖尿病ともに血糖コントロールのために食事療法が推奨されています。 主食・主菜・副菜をそろえ、食べ過ぎや偏りを防ぎながら、続けやすい形で取り組んでいくことが重要です。
主食は、白米やパン、麺をまったく食べてはいけないわけではありませんが、量が多すぎると食後に血糖が上がりやすくなります。 ごはんなら適量を意識し、丼物や麺類だけで済ませるのではなく、魚、肉、大豆製品、卵などのたんぱく質のおかずや、野菜、きのこ、海藻などを組み合わせることが大切です。 食物繊維の多い野菜や海藻、きのこを先に食べると、食後の血糖値の上昇がゆるやかになり助けになります。
間食や甘い飲み物、ジュース、加糖のカフェ飲料、スポーツドリンクなどは、気づかないうちに糖質を多くとってしまうため注意が必要です。 また、早食い、まとめ食い、夜遅い食事も血糖コントロールを乱しやすくなります。 よく噛んでゆっくり食べること、毎食の量をできるだけ一定にすることも大切です。
運動療法で大切なこと
運動療法は、血糖を下げるだけでなく、インスリンの効きをよくし、体重管理、血圧や脂質の改善、筋力維持にも役立ちます。 糖尿病の運動療法としては、週150分以上、週3回以上の中等度の有酸素運動に加え、週2~3回のレジスタンス運動を行うようにします。
有酸素運動としては、やや息がはずむ程度の速歩き、ウォーキング、ゆっくりしたジョギング、自転車こぎ、水中歩行などが取り入れやすい運動です。 1回20~30分程度を目安に、無理のない範囲で継続することがすすめられます。 忙しい方では、10分ずつに分けて1日合計20~30分を目指す方法でも続けやすくなります。
筋力トレーニングとしては、スクワット、かかと上げ、もも上げ、椅子からの立ち座り、軽いダンベル運動、セラバンドを使った運動などが挙げられます。 高齢の方や関節痛のある方では、無理のない回数から始めて、継続することが大切です。
運動でインスリンの効きがよくなる仕組み
運動すると、筋肉はエネルギーを必要とするため、血液中のブドウ糖を取り込みやすくなります。 また、継続的に運動することで筋肉量が保たれ、筋肉の細胞がインスリンに反応しやすくなるため、インスリン抵抗性の改善につながります。 つまり、同じ量のインスリンでも血糖を下げやすい状態になっていくのです。
薬物療法とインスリン療法について
食事療法や運動療法だけでは十分なコントロールが難しい場合には、薬物療法を行います。 現在はさまざまな内服薬や注射薬があり、血糖値の状態、体重、合併症、低血糖リスク、腎機能、生活スタイルに応じて選択します。 SGLT2阻害薬、DPP-4阻害薬、イメグリミン、GLP-1受容体作動薬、GIP/GLP-1受容体作動薬など、治療の選択肢は広がっています。 また、糖尿病のタイプや病状によっては、インスリン療法が必要になることもあります。
インスリン療法について
インスリン療法は膵臓からインスリンが分泌されなくなった場合に、人工的に作られたインスリン製剤を、自己注射で補充する治療法です。 ただし、手術や感染症のとき、妊娠中、また内服薬だけでは十分なコントロールが難しいときなどにも、一時的に使用する場合もあります。 適切に使えば、血糖をしっかり下げるだけでなく、膵臓を休ませる助けにもなります。
インスリン療法は、ペン型の注射器を使って皮下に注射するのが一般的です。 お腹、太もも、上腕などに、ご自身で打てるよう練習しながら進めます。 実施の方法には、1日1回程度の基礎インスリンから始める方法、食事に合わせて追加で注射する方法、基礎インスリンと追加インスリンを組み合わせる方法などがあり、糖尿病のタイプや生活リズムに応じて選びます。
1型糖尿病では、食事前の追加インスリンと基礎インスリンを組み合わせる強化インスリン療法が行われることが多く、食事中の炭水化物量に応じて投与量を調整するカーボカウントが役立つこともあります。
インスリン療法では、注射手技だけでなく、低血糖への対応、食事との関係、注射のタイミング、自己血糖測定の必要性なども大切です。 ただ「注射を始める」だけではなく、不安を減らしながら安全に続けられるよう丁寧にご説明します。
当院では、糖尿病専門医として、数値だけに追われる治療ではなく、患者さまの生活に無理なくなじむ治療を大切にしています。 食事も運動も薬も、「なかなかできないこと」を問題視するのではなく、「続けられること」を一緒に見つけながら、合併症予防につながる治療を行います。 血糖値管理が長年うまくいかなかった方も、お気軽にご相談ください。
FreeStyleリブレ2の選定療養(保険外併用療養費)
当院では、腕に貼ったセンサーで24時間の血糖変動を可視化できる「間歇スキャン式持続血糖測定器 FreeStyleリブレ2」を取り扱っております。これまではインスリン自己注射を行っている一部の患者様のみが保険診療の対象でしたが、制度の改正に伴い、保険診療の対象外となる患者様に対しても「選定療養(自費購入)」としての処方(販売)が可能となりました。これにより、通常の診察や検査は健康保険を適用しながら、リブレ2のセンサー代金のみを全額自己負担(選定療養費)として院内でご購入いただけます。
対象となる方
- インスリン自己注射を行っていない糖尿病治療中の方
- 健康診断などで血糖値の高さを指摘され、変動を詳しく調べたい方
- ご自身の日常の血糖トレンド(食後高血糖など)を把握し、食事や運動療法に活かしたい方
※すでに保険適用でリブレ2を使用されている方への重複した自費販売はできません。